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COLUMN 2025.10.10
コラム

MOTION HACK(ラピッドトリガー)設定のコツと参考設定の紹介

MOTION HACK(ラピッドトリガー)設定のコツと参考設定の紹介

ZENAIM ARCADE CONTROLLER BUTTON MODULE KITは、磁気検知方式のボタンを採用することで、各ボタンのON/OFFストロークなど、幅広い設定が可能となっています。
本コラムでは、特に設定の幅が広く、自由度の高い「アクチュエーション」設定について深堀りしていきます。

目次

  1. アクチュエーション設定で何が変わるのか?
  2. すぐに試せる!サンプル設定
  3. あなただけのベストな設定を追求してください!

1.アクチュエーション設定で何が変わるのか?

ZENAIM SOFTWAREのアクチュエーション設定では、ボタンのON/OFFストローク位置やMOTION HACK(ラピッドトリガー機能)の設定が行えます。

アクチュエーションとは、ボタンを押し込んだときにON判定することを意味します。
押し込んだ時の反応する位置をアクチュエーションポイントと呼び、指を離した際にアクチュエーションが解除(OFF判定)される位置をリセットポイントと呼びます。
ではアクチュエーション設定をすると、何がどのように変わるのでしょうか?

全体ボタンと指定ボタンのアクチュエーション設定

アクチュエーション設定は、HOME/START/LOCKを除くすべてのボタンで使用可能です。
すべてのボタンを一律で同じ設定にしたい場合は、「全体ボタンのアクチュエーション」で一括指定ができます。
特定のボタンについて個別で設定を変更したい場合は、ボタンの画像をクリックして選択した後、「指定ボタンのアクチュエーション」を設定することで調整ができます。

複数ボタンをあらかじめクリックして選択しておくことで、まとめて設定を変更することも可能です。

通常アクチュエーション

■AP(アクチュエーションポイント)

指を押し込んでからON判定されるまでに必要なストローク量を設定できます。
0.10mmから0.65mmまで、0.05mm単位で調整をすることができます。素早い反応を求める場合は浅く設定し、誤操作を防ぎたい場合は深めに設定するのがおすすめです。

■RP(リセットポイント)

アクチュエーションポイントに対し、どれだけ指を戻したら入力がリセット(OFF判定)されるかを設定できます。
0.05mm単位でアクチュエーションポイントからマイナス◯◯mmでリセットさせたいかを設定します。アクチュエーションポイントが0.30mmのとき、リセットポイントを-0.10mmに設定すると、アクチュエーションポイント0.30mm - 0.10mmの位置、つまりボタンストロークとしては0.20mmの位置がリセット位置になります。通常アクチュエーション設定の場合、リセットポイントは必ずアクチュエーションポイントよりも上の位置になります。

MOTION HACK

MOTION HACK(ラピッドトリガー)機能は、キーストロークに合わせてアクチュエーションポイントとリセットポイントが自動で追従する機能です。通常アクチュエーションでは、リセットポイントが必ずアクチュエーションポイントの上であるのに対し、MOTION HACK機能では、アクチュエーションポイントより下の位置でもリセットさせることが可能です。

■有効範囲

MOTION HACKが作動するストローク範囲を表しています。
有効範囲の下限(例:0.20mm)を越えた位置からMOTION HACKが有効になります。

■ONストローク量

どれだけボタンをストロークさせたらONするかを0.05mm単位で調整できます。

■OFFストローク量

ONした後で、どれだけ指を戻したらOFFするかを0.05mm単位で調整できます。

上図の例では、有効範囲0.20〜0.65mm、ONストローク量0.10mm、OFFストローク量0.30mmとしています。
この場合、ボタン操作すると、

  1. 有効範囲0.20mmを超えたタイミングでMOTION HACK機能が有効になる
  2. さらに0.10mmストロークしたタイミングでON判定される
    (つまり、ボタンから完全に指を離した状態から押し込むと、0.30mmの位置でON判定されます)
  3. 指を離し始めてから0.30mmストロークが戻った位置でOFF判定される
  4. ストローク0.20mmの位置よりも上にボタンが戻った場合、MOTION HACK機能が解除される※

※ 指を完全に離しきらず(ストローク0.20mmより下の位置で)再度ボタンを押し込んだ場合、0.10mm押し込んだ位置で再びON判定される

という動作になります。

■BEYOND MODE

MOTION HACKの終了条件が、有効範囲によらず完全にボタンから指を離したタイミングになります。ボタンを押し込み、MOTION HACKが有効になった後は、ボタンのストロークがか完全に戻らない限りMOTION HACKが維持されます。そのため、ボタンから指を離さずにストローク動作をする際、最速のON/OFFが可能となります。

2.すぐに試せる!サンプル設定

ひとまず反応の違いを試したい!設定を詰めていくベースを作りたい!といった方のために、サンプルの設定を用意しました。
ZENAIM ARCADE BUTTONの応答性の高さを体感していただける、速度重視の設定と、誤動作や入力切れのリスクを抑えた安定性重視の設定の2種類をご紹介します。

速度重視設定

すべてのボタンに対し、押し込みから0.15mmでONし、0.20mm指を戻すとOFFする設定です。
歩きガードやしゃがみからの立ち上がり、連打などが高速になります。
その反面↓↘→などのコマンド入力の際に、斜め入力の抜けが起きやすくなるリスクがあるため、操作の難易度は高くなります。

開発者おすすめ調整方法:

斜め入力が入りにくい、ガードが意図せず解除されてしまう、などの現象が起きる場合、OFFストローク量を長めに設定するか、MOTION HACKをOFFにし、通常アクチュエーションの設定をしてみましょう。

安定性重視設定

全体のボタン入力を、ストロークの半分程度の位置でON/OFFする設定です。
誤ってONしてしまうリスクを低減し、操作の安定性を優先しています。
また、下入力のみ通常アクチュエーションとし、AP0.40mm、RP-0.35mmに設定しているため、指をほぼ完全に戻さないとOFFしないようにしています。これにより、斜め入力の際に入力が維持される時間を長くすることができるため、↓↘→といったコマンド入力をしやすくなります。
その反面、下入力の解除が遅くなることで、しゃがみからの立ち上がりやジャンプ、↓↓+攻撃ボタンなどのコマンド入力が、速度重視の設定よりも遅くなります。

開発者おすすめ調整方法:

ボタンへの指の置き方や押し方に対して、キャラクターが意図せず動かない位置までONストローク量を深くしてみましょう。コマンド入力の際に、余分な入力がされていないかをトレーニングモード等で確認し、ONストローク量とOFFストローク量を調整してみましょう。
(例:↓↘→+Pのコマンド入力時、キーディスプレイに↓↘+Pのように記録される場合、指の動作に対して攻撃ボタンの入力が速すぎるためPボタンのONストロークを深く設定する、など)

3.あなただけのベストな設定を追求してください!

このように、ZENAIM ARCADE CONTROLLER は、磁気検知方式のボタンにより、それぞれのボタンに細かな設定が可能な製品となっています。
速度と安定性のバランスは、プレイスタイルだけではなく、慣れやテクニックの向上によっても最適値が変わり得ます。サンプル設定を参考に、ご自身にあった調整をしつつ、定期的に見直すことで、コントローラの性能を最大限に引き出していただくことが可能となります。
ZENAIM公式でもおすすめ設定やプロ設定などを公開していけたらと考えています。
今後も格闘ゲームのプレイ体験を向上させるアップデートを進めていきますので、どうぞお楽しみに!

参考:「なぜZENAIMは、レバーレスアケコン用ボタンモジュールキットを先に開発したのか?

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