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COLUMN 2025.09.18
コラム

なぜZENAIMは、レバーレスアケコン用ボタンモジュールキットを先に開発したのか?

なぜZENAIMは、レバーレスアケコン用ボタンモジュールキットを先に開発したのか?

ZENAIMはZENAIM KEYBOARDで培ったスイッチ技術と磁気検知技術を応用し、レバーレスアーケードコントローラー用のボタンモジュールキットを開発いたしました。(製品の詳細につきましてはお知らせをご覧ください。)
本製品はボタンと基板、それらを接続するハーネスをセットにしたキット構成で、自作コントローラーなどオリジナルの筐体や既存のアケコン本体に組み込みご使用いただけます。

1.なぜボタンモジュールキットを先に発売するのか?

製品企画当初は、ZENAIM KEY SWITCH を組み込んだレバーレスコントローラー本体として発売する計画で開発をスタートしました。しかしながら、格闘ゲームユーザーの中にはカスタム志向のプレイヤーも多く、配列など一人ひとりのこだわりが強いコミュニティであることを実感しました。加えて、いち早くこの性能をユーザーに届けたいという想いもあったことから、筐体を含むレバーレスコントローラー本体の完成を待たず、ボタンモジュールキットを先行して販売することにいたしました。
プロ選手との共同開発において数多くの試作を重ね、さらに世界大会の環境で鍛え上げられた結果、ボタン性能としてリリースできるクオリティに仕上げることができました。

2.開発のきっかけと、たどり着いたコンセプト

ZENAIM KEYBOARD 発表当時から、「このスイッチは格闘ゲームにも有効ではないか」という声をいただいていました。この声を受け、開発チームでも「ボタンでのコマンド入力のみで戦う、シンプルなゲーム性だからこそ求められる極限の戦いにおいて、ZENAIMが独自に開発した ZENAIM KEY SWITCH を用いたコントローラーは、その真価を発揮できるデバイスになり得るのではないか」と考えるに至りました。

しかし、キーボード用に開発したスイッチをそのまま流用するだけでは、格闘ゲームコントローラーの課題をどのように解決できるのかが不透明でした。
そこで「ZENAIM だからこそ実現すべき性能」とは何か?を明らかにするため、デバイス調査、ユーザーアンケート、インタビュー、対戦会への参加などを通じて、水面下で具体的な課題を徹底的に掘り下げていきました。

その中で ZENAIM が着目したのが、耐久性・応答性・ばらつき・操作感・カスタム性といった、多様化するユーザーのニーズでした。

これら多様な需要から見えてきた課題認識は、格闘ゲームを心から楽しみ、プレイパフォーマンスを高めるために、実はゲーム以外で考えなければならないこと、対応しなければならないことが想像以上に多い、というものでした。

特にボタン性能のばらつきや耐久性の問題に悩むユーザーに対しては、純粋にゲームを楽しめるよう、わずらわしさを可能な限り取り除いた製品を届けたい――そう考えるに至りました。

コンセプトは“心・技・体の充実”

プレイヤーの心身に余分なストレスを与えず、技の追求を支え続けるデバイス――

  • プレイの中で様々な戦い方を試したり、苦手なキャラクターや操作に挑戦したりする楽しさに、ユーザーが没頭できるように。
  • コントローラーの使いにくさやスイッチの押しにくさ、運用でカバーせざるを得ないわずらわしさを、細部まで徹底的にそぎ落としていく。
  • 競技シーンにおいて最後まで集中力を損なわず、挑戦的な姿勢でプレイできるよう、スムーズな動作とその精度を追求する。

さらに、時間的には試合よりも圧倒的に練習や日常のプレイの方が長いことを踏まえ、長期的な視点でプレイヤーの成長が促進される、長く使い続けられるデバイスを理想として目指しました。

3.特徴的な機能・性能

製品コンセプトを実現するためには、コアとなるパーツであるボタンと、その制御を確実なものにする必要がありました。そこで ZETA DIVISION のプロ選手と共同で数多くの試作を重ね、格闘ゲームに求められるボタン性能の最適値と、競技シーンでの実用性を徹底的に追求しました。

◼️理想的な高速レスポンス

ボタンのストローク量はわずか0.75mm。トッププロと共同で試作を重ね、物理的な入力速度を高めつつ、誤入力のリスクを最小化するZENAIM独自の理論値に到達しました。

さらに、磁気センシング技術により0.05mm単位でのON/OFFストロークの調整機能と、MOTION HACK(ラピッドトリガー)機能も使用可能です。これにより、ボタンのONストロークをユーザ自身で浅くする、深くするといった個別設定が可能になるため、移動はクイックに反応するように浅くしつつ、隙が大きい技ボタンは深く設定し暴発リスクを減らす、などユーザー自身のプレイスタイルや練度に合わせた調整ができるようになります。

◼️超高耐久のオリジナル無接点磁気スイッチ

ZENAIM KEY SWITCHを採用。1億回を超える耐久試験においても押下時の打感変化がほとんど見られず、圧倒的な耐久性を誇ります。

◼️高精度を確実なものにするソフトウェア制御

磁気検知式スイッチ搭載のアケコンボタンの性能を最大限に引き出すため、「ユーザーキャリブレーション機能」や、ZENAIM KEYBOARDでも好評を得ている「温度補正機能」を搭載しています。
これらの機能につきましては、今後それぞれコラムで詳細に触れていきますので、ぜひご覧ください。

◼️専用ソフトウェアによる自由なカスタマイズ

専用のソフトウェアUIを用いることで、ボタンごとのリマップやMOTION HACK(ラピッドトリガー)機能を含むアクチュエーションポイント/リセットポイント(ON/OFFストローク)の設定が可能です。

さらにSOCDクリーナー機能やユーザーキャリブレーション機能を搭載し、最大4つまでメモリー登録が可能。ユーザーのプレイスタイルに合わせて自在にカスタマイズできます。

4.さいごに

ゲーム以外のわずらわしさを取り除いた先に、ZENAIM が目指すのは「ゲームへの没頭」です。

ボタンの選別や自分に合ったボタン探し、設定値の追求など、ゲーム以外に費やす時間をできる限り少なくし、余計なノイズを排して己の技のみに集中し磨いていく――その至高の時間を楽しんでいただきたいと考えています。

そのために、プレイヤー自身のコンディションや実力に合わせて入力感度をカスタマイズできる十分な設定幅を持たせつつ、極端に細かい数値調整をしなくても快適に使用できる設計としています。

現在、レバーレスコントローラー本体については、プロ選手との試作機テストを経て最終的な設計調整を行っております。発売までは今しばらくお時間をいただきますが、ご期待に沿うクオリティを実現すべく、ZENAIM チーム一丸となって開発に取り組んでおりますので、公式からの発表を楽しみにお待ちください!

 

※東京ゲームショウ2025(9/25~9/28)ZETA DIVISIONブースでレバーレスコントローラーのプロトタイプでの試遊が可能です。来場をご予定の方は、ぜひ当日会場でお試しください。

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